大阪地方裁判所 平成元年(わ)932号 判決 1989年10月17日
本店所在地
大阪府東大阪市渋川町三丁目二番一一号
日伸工業株式会社
(右代表者代表取締役 山住茂男)
本籍
大阪府東大阪市俊徳町五丁目五番
住居
同市俊徳町五丁目五番二九号
会社役員
山住知平
昭和八年一一月二九日生
右の者らに対する各法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官藤村輝子出席の上審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人日伸工業株式会社を罰金五八〇〇万円に、被告人山住知平を懲役二年に処する。
被告人山住知平に対し、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人日伸工業株式会社(以下、被告会社という。)は、大阪府東大阪市渋川町三丁目二番一一号に本店を置き、金属打抜プレス加工業を営む資本金六〇〇〇万円の株式会社であり、被告人山住知平(以下、被告人という。)は、被告会社の代表取締役としてその業務全般を統括していたものであるが、被告人は、被告会社の業務に関し、その法人税を免れようと企て、
第一 架空の外注加工費を計上するなどの方法により所得の一部を秘匿した上、被告会社の昭和六〇年二月一日から昭和六一年一月三一日までの事業年度における実際所得金額が三億七七五二万二七五七円あった(別紙(一)修正損益計算書参照)のにかかわらず、同年三月三一日、大阪府東大阪市永和二丁目三番八号所在の所轄東大阪税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二九四九万二二二四円で、これに対する法人税額が一〇五二万三六〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額一億六一二二万六〇〇円と右申告税額との差額一億五〇六九万七〇〇〇円(別紙(三)税額計算書参照)を免れた
第二 前同様の方法により所得の一部を秘匿した上、被告会社の昭和六一年二月一日から昭和六二年一月三一日までの事業年度における実際所得金額が二億四一五四万四三一二円あった(別紙(二)修正損益計算書参照)のにかかわらず、同年三月三〇日、前記東大阪税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が五一二二万一四五二円で、これに対する法人税額が一八九三万二二〇〇円である旨の内容虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって不正の行為により被告会社の右事業年度における正規の法人税額一億一三四万二一〇〇円と右申告税額との差額八二四〇万九九〇〇円(別紙(三)税額計算書参照)を免れた
ものである。
(証拠の標目)
(注)括弧内の算用数字は証拠等関係カード検察官請求分の請求番号を示す。
判示全事実につき
一 被告人の当公判廷における供述(被告人につき)
一 被告会社代表者の当公判廷における供述(被告会社につき)
一 第一回及び第二回公判調書中の被告人の各供述部分(被告会社につき)
一 被告人及び被告会社代表者の検察官に対する各供述調書
一 被告人(一七通)及び被告会社代表者(三通)に対する収税官吏の各質問てん末書
一 被告人作成の証明書及び確認書
一 内貴清蔵の検察官に対する供述調書
一 内貴清蔵、堀川泰正、岩本輝明こと李輝明、吉松利章、今田千鶴子(二通)、徳山秀雄こと洪浣基及び徳山絹枝こと姜絹枝に対する収税官吏の各質問てん末書
一 収税官吏作成の各査察官調査書(11、13、18、71、73、78を除く。)及び写真撮影てん末書
一 東大阪税務署長作成の各証明書(6、66)
一 大阪法務局東大阪支局登記官作成の商業登記簿謄本二通
判示第一の事実につき
一 東大阪税務署長作成の各証明書(3、63)
一 収税官吏作成の各査察官調査書(18、78)
判示第二の事実につき
一 東大阪税務署長作成の各証明書(4、64)
一 収税官吏作成の各査察官調査書(11、13、71、73)
(法令の適用)
被告人の判示各所為はいずれも法人税法一五九条一項に該当するので、いずれも所定刑中懲役刑を選択し、以上の各罪は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第一の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役二年に処し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとする。
さらに、被告人の判示各所為は被告会社の業務に関してなされたものであるから、被告会社については、法人税法一六四条一項により判示各罪につき同法一五九条一項の罰金刑に処せられるべきところ、情状により同条二項を適用し、以上の各罪は刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により合算した金額の範囲内で被告会社を罰金五八〇〇万円に処することとする。
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 三好幹夫)
別紙(一)
修正損益計算書
(日伸工業株式会社)
自 昭和60年2月1日
至 昭和61年1月31日
<省略>
(製造原価)
修正損益計算書
(日伸工業株式会社)
自 昭和60年2月1日
至 昭和61年1月31日
<省略>
(販売費及び一般管理費)
修正損益計算書
(日伸工業株式会社)
自 昭和60年2月1日
至 昭和61年1月31日
<省略>
別紙(二)
修正損益計算書
(日伸工業株式会社)
自 昭和61年2月1日
至 昭和62年1月31日
<省略>
(製造原価)
修正損益計算書
(日伸工業株式会社)
自 昭和61年2月1日
至 昭和62年1月31日
<省略>
(販売費及び一般管理費)
修正損益計算書
(日伸工業株式会社)
自 昭和61年2月1日
至 昭和62年1月31日
<省略>
別紙(三)
税額計算書
日伸工業株式会社
<省略>